Special Interview向井理

「鎌塚氏シリーズ」をはじめ、「ライクドロシー」「虹とマーブル」「磁場」など、多彩な作品を生み出してきた劇作家であり演出家でもある倉持裕が手掛けた「嘘」を巡る心理サスペンス「リムジン」。

今回、初めて倉持作品の舞台で主演を務める向井理さんに“倉持ワールド”の魅力や5月の上演に向けての意気込み、舞台への思いなどを語ってもらいました。また、気になるスマホライフについても直撃! 仕事や趣味で重宝しているという活用法を伺いました。

※2020年2月15日時点の情報です。

倉持さんは、いろいろな引き出しを持っている方

今回の舞台出演はどういう経緯で決まったんですか?

もともと倉持さんの舞台を見ていて、いつかご一緒したいということをいろいろなところで話していたんです。そんな噂というか「どうやらアイツが気にしているらしい」みたいなものを倉持さんにキャッチしていただいて。(今作の)プロデューサーさんと一緒に食事をしましょうということになったのが2年ぐらい前。その時は「ホントにやる気あるの?」なんていう話をしつつ、じゃあ一緒にやるなら何をやろうかというところから始まった感じです。

でも、倉持さんの中ではシリアスな面もありつつのコメディーという構想が何となくあったみたいで。僕もそういうストレートプレイが好きなので、日常を通してどういう物語になっていくのか興味がありました。

倉持作品との出合いは?

(片桐)はいりさんから「すごくいい劇作家がいるよ」って言われて、はいりさんが出演していた舞台を観劇したことがきっかけで、その時に倉持さんを紹介していただきました。それから何度かお会いする機会があったんですけど、ちゃんと向き合って話をしたのは2年前に食事をした時です。

作品としては、コメディーに振り切った「鎌塚氏シリーズ」や会話劇で成立させる舞台があって。去年上演された村上春樹さん原作の舞台「神の子どもたちはみな踊る after the quake」は完全にファンタジーな作品なんですけど、見ていても全く違和感のない世界観を作り上げているんです。分かりやすくこれが“倉持色”という感じではないところが魅力で、見た後に「あ、これ倉持さんの作品だったんだ」って気付くことの方が多いかもしれません。それだけ、いろいろな引き出しを持っている方なんだろうなと思います。

日常にありそうなことをエンターテインメントとして表現していきたい

今作は「嘘」を巡る心理サスペンスが展開されます。

嘘をついたり秘密を持つということは生きていれば大なり小なり経験すること。そこは共感しやすいかなと思いました。例えば寝坊して遅刻した時に電車が遅れたことにしてしまう。でも、実は同じ電車に乗っていた人がいて、本当は遅れていなかったことがバレる。そういう些細な嘘なんてよくあるじゃないですか。

傍から見たら大したことではないんだけど、当事者にとっては一大事。そんな日常にありえそうなことをピックアップして、虫眼鏡で大きくしていくのが演劇だと思うんです。そこに、倉持さんなりの笑いが散りばめられて、嘘や秘密がどんな風に転がっていくのか。そこは倉持さんのさじ加減だと思いますけど、変に奇をてらったことをするのではなく、日常にありそうなことをエンターテインメントとして表現していきたい。力技じゃないリアリティーを出せたらいいなと思っています。

奥さん役の水川あさみさんをはじめ、共演者も個性豊かですね。

登場人物は7人。嘘をどうやってごまかすのかがテーマなので、一つのコミュニティを見せていきながらその人間関係の移り変わりを繊細にやっていくことが大事だと思っています。自分にも経験がありますけど、一つ嘘をつくとどこかで帳尻を合わせるために、もう一回違う嘘をつかないといけなくなる。そんなシチュエーションの中に倉持さんらしいシリアスと笑いが混在しているような感じが面白くて、きっといろいろなことを感じていただけるんじゃないかなと思います。お客さんとの距離が近い本多劇場のような劇場に向いている作品かもしれません。水川さんを含め、皆さんと舞台で共演するのは初めてなので、7人が集まった時の化学反応に僕自身も期待しています。

倉持さんの演出で楽しみにしていることは?

昨年、倉持さんが脚本を書かれた「LIFE!presents 忍べ!右左ヱ門」(NHK総合)に出演させていただきましたが、演出を受けるのは今回が初めてです。倉持さんはとても繊細で細かい演出をされる方という印象で、表面的な分かりやすい部分じゃないところが好きなのかなと勝手に思っています。

劇中で「嘘」をついていくわけですから、口で言っていることと頭で考えていることが違うということをちゃんと見せていかないと、物語の奥行きが狭くなってしまう。嘘なのは知っているんだけど、本当だと思っているように見せないといけないので、その裏の感情のようなものを大切にしていきたいです。そういう意味ではどんな稽古になるのかすごく興味がありますし、共演者の皆さんと役を離れた時にどういう話ができるのかも楽しみ。稽古場で過ごす時間はとても貴重なので、一つのカンパニーとしていいものを作っていきたいです。

ちなみに、嘘をつくことは得意ですか? それともすぐバレるタイプ?

これまで細かいものを数えたらたくさん嘘をついてきたと思いますけど…決して得意ではないです(笑)。そもそも俳優という仕事が「嘘」みたいなものですから。家に帰ってまで嘘をつくのは面倒くさい。だから、今日はこんなことがあったとか何をやったとか、聞かれてもいないのに自分から全部しゃべっています(笑)。

見終わった後に妄想や想像をしていただけるような作品に

ここ数年は、コンスタントに舞台をやっているイメージがあります。

今は、年に1本ぐらいがちょうどいいのかなと。あまりやりすぎても、間隔が空きすぎても違うような気がしています。舞台は、お客さんのリアクションを肌で感じられるところが面白い。だからこそ、明確にダメだったという回が分かる怖さもあります。東京と大阪で反応が違ったりしますし、その土地ならではの反応を感じられるのもいい経験になりますね。

今回は東京、大阪以外に富山、愛知、島根、広島、福岡、愛媛、仙台、新潟と各地を回りますね。

みんなでいろんなところに行ける楽しみがありますね。その土地の美味しいものを食べることができますし、毎回劇場が変わる点も新鮮。キャストたちの動線も変わってきますから。舞台袖はどうなっているのかなどを確認しつつ、本番前に劇場内を冒険するのが楽しいです。

映像作品と舞台で、役との向き合い方に違いはありますか?

基本的に意識はしていないです。結局、どのジャンルにしても見てくださる人がどう捉えるのかだと思っているので。映画やドラマだと、悲しい顔をカメラで抜いていれば悲しいシーンに見える。でも、舞台ではそう簡単にはいかない。悲しい表情をしていたとしても、お客さんが僕を見ているとは限りませんから。そういう違いを感じることはありますけど、あえて芝居を変えるということはないですね。ただ、僕の実年齢や役の年齢もそうですけど、それだけ生きてきたということが映像や舞台上でちゃんと出るようにということは常に心掛けています。

では、5月の上演に向けて意気込みをお願いします。

一見突拍子もない話に見えるかもしれませんが、一つの嘘がきっかけでどんどん追い詰められていく感じというのは、ちょっと置き換えたら自分にもありそうなことだと思うんです。第三者からは滑稽に見える7人の登場人物の関係を覗きに来るような感覚で楽しんでください。見終わった後にいろいろな妄想や想像をしていただけるような作品にしたいと思っています。

スマホは人間誰しもが持っている知的欲求を満たしてくれる

ここからは、向井さんのスマホライフについてお伺いしたいのですが、普段はどんな風に利用していますか?

僕は割とニュースを見ることが多いです。やっぱり、他の媒体と比べてスピード感が違うじゃないですか。情報源としてはネットが一番早い。いろいろな情報を知っていないと生きていけないわけじゃないですけど、スマホは人間誰しもが持っている知的欲求みたいなものを満たしやすいものになっているなと思います。

仕事で活用することは?

今、大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK総合)に出演しているのですが、台本の中に難しい漢字が出てくることがあるんです。その時にすぐ調べられるから本当に便利だなと。お金を払ったり、家の鍵を開けることができたりもしますし、決してスマホに依存しているわけではないですけど、今やなくてはならない存在ですね。個人情報がいっぱい入っていますから、ものすごく恩恵を受けている反面、なくしたらどうなってしまうんだろうという危機感みたいなものを覚えます。

よく使うアプリはありますか?

カメラですね。結構撮っているんですけど、今は昔みたいに(紙の)アルバムのようなものがないんです。全部スマホに入っているから現像するタイミングがないんですよ。写真の枚数でいったらフィルムの時とは比べ物にならないぐらい撮ってはいるんですけど、形として手元に残らない。そういう意味でもスマホが手放せなくなっています。

どんなものを撮ることが多いですか?

風景や建物を撮ったりすることが多いです。映画祭で四国に行った時は松山城、京都で舞台をやった時はちょうど季節が秋だったので、お寺を撮ったり。仕事で地方に行ったら景色や建物をよく撮っています。海外に行くことも多いのでキューバやブータンなど、それぞれフォルダに分けて残しています。

ドラマや舞台など、作品ごとにグループLINEを作ることはありますか?

自分から率先して作りましょうというタイプではないです。でも『劇団☆新感線』の舞台に出演した時はみんなで作ってご飯に行く時に連絡したり、他の作品でもみんなで撮った写真を共有したことがあります。誰かが作ってくれたグループに参加するという感じです。

LINEでスタンプを使うことは?

そんなに使わないです。割と必要最低限の会話で済ませているかも。ただ、一時期ハマっていたのは片桐仁さんのスタンプ。片桐さんが作った粘土アートにひと言添えているものがあって、それを使っていましたね。

Profile

むかい・おさむ
1982年2月7日生まれ、神奈川県出身。近作にドラマ「10の秘密」、「麒麟がくる」、映画「ザ・ファブル」「引っ越し大名!」、舞台「美しく青く「など。「WOWOW 連続ドラマW 鉄の骨」が4月放送予定。

Information

M&Oplaysプロデュース
「リムジン」
2020年5月23日(土)〜 東京・本多劇場 ほか

Story

舞台は小さな田舎町。親から受け継いだ小さな工場を営む男(向井理)は町の実力者に気に入られていて、自分の後継者にと推薦されていた。ところが、彼は誤って昇進に尽力してくれた恩人にケガを負わせてしまう。妻(水川あさみ)はすぐに謝ることを勧めるが、掴みかけたチャンスを失いたくない男はつい嘘をついてしまい…。

作・演出:倉持裕
出演:向井理、水川あさみ、小松和重、青木さやか、宍戸美和公、田村健太郎、田口トモロヲ

公演情報

・富山公演 6月16日(火)
・大阪公演 6月18日(木)、19日(金)
・愛知公演 6月20日(土)、21日(日)
・島根公演 6月23日(火)
・広島公演 6月25日(木)
・福岡公演 6月27日(土)、28日(日)
・愛媛公演 6月30日(火)
・仙台公演 7月3日(金)
・新潟公演 7月5日(日)

詳しくはこちら

撮影:渡部孝弘 取材・文:小池貴之
スタイリング:外山由香里 ヘアメイク:晋一朗(IKEDAYA TOKYO)

サイン入り写真プレゼント

向井理さんサイン入り写真を
1名様にプレゼント!

応募方法

以下のメールアドレスまでご応募ください。

応募用メールアドレス

nexistyle@nexi.jp

メールの件名は「向井理サイン入り写真プレゼント」とし、メール本文にクイズの答えのみを記入し、お送りください。(応募時にはお名前、ご住所、お電話番号等の情報は記入不要です。)

■ 応募用クイズ
『リムジン』の演出家の名前(フルネーム3文字)は?

応募締切

2020年4月6日(月)23時59分

当選発表

2020年4月7日(火)

厳正なる抽選の上、当選者の方にはメールにてご連絡させて頂きます。 またご連絡の際に、発送に必要なお届け先情報を別途、お伺いしますので当選メール内に記載される期限までにご回答ください。

※迷惑メール防止などでメールの受信設定をされている場合は、nexiSTYLEからの当選メールが届きません。「@nexi.jp」からのメールが受信できるように設定を行ってください。

注意事項

※応募は1アドレスにつき1回までとなります。
※抽選結果に関するお問合せにはお答えできませんので、予めご了承ください。
※ご応募いただきましたメールアドレスは、当選のご連絡のみに使用させていたします。抽選後は速やかに消去いたします。
※当選した権利およびお受け取りになった賞品は第三者へ譲渡できません。オークションへの出品・営利目的での転売等が発覚した場合は、賞品をご返却いただくことがあります。