Special Interview

水谷 豊

まもなく公開される俳優・水谷豊さんの初監督映画「TAP -THE LAST SHOW-」。40年思い続けた夢を実現した水谷さんに、映画への思いと、映画を作る過程で進化したスマホライフについて伺いました。

社会や人をどう見つめているかがそのまま表れる監督業。
ショウのようにお客さんを連れていけたらうれしいです。

初監督作品に「TAP」を選んだ理由を教えてください。

「若い頃にブロードウェイでショウを観て、人の体の動きから伝わる何かに、自然と涙があふれたことがあったんです。それをこの映画でやりたい、ショウの裏側も表現して、ステージと同じような感動にたどり着きたいと思いました。初めてオリジナルの脚本づくりから撮影、仕上げまで、スタッフとの打ち合わせから全部関わってみて、うれしかったのはどこに対しても越権行為がないということ(笑)。そして俳優のとき以上に、スタッフさんたちの才能を感じられたこと。すべてのカットが、僕のイメージを超えてくれました」

音楽のセンスや社会の描き方を含めて、レトロな洋画のような雰囲気と、最新ダンスショウの熱を感じました。ダンサーを演じる若手キャストを、オーディションで選ばれたそうですね。

「はい。最後にショウを見せるので、タップダンス監修のHIDEBOHと一緒に、真剣に選考しました。今回はダンサーの人生や厳しい生活も描くので、タップのできる俳優を選ぶか、純粋なタップダンサーに芝居をしてもらうかをギリギリまで悩んでいたんです。でも、彼らのダンスを観て、やっぱり感動の世界に連れていくのは本物がいいな、と。彼らは真っ白で、変な色や芝居のクセを削ぎ落とす必要がなく、非常に生っぽい芝居をしてくれました」

確かに、ドキュメンタリーのような本物感がありました。それから、水谷さん演じる渡、岸部一徳さん演じる毛利、六平直政さん演じる寛治の関係も、ダンディで愛おしかったです。

「ありがとうございます(笑)。まず渡と毛利の2人は、多くは語らずとも長~い付き合いがあることを表現したかったんですね。例えば、病室のガラス越しに無音でリズムを取り合って通じる2人だけの世界。それを見て寛治が泣き崩れる…そんな3人の人生を感じるシーンをいくつか作って。俳優のときにも感じるんですが、作品には、監督が社会や人をどう見つめているかがそのまま表れる。ですから登場人物それぞれの生活を、ただ正直に描きました」

出来上がった作品を観たお気持ちは?

「僕は常に、映画は作り手ではなく観た人のものだと思っているんです。映画の中の“ラストショウ”も、最後にダンサーではなく受け取った客席の表情を映したのはそういうことで…この映画も同じように“お客さんを連れて行く”ことができればいいなと思います」

映画を作る過程で、スマホの便利さを実感!
自分の手元でいろいろなことができるようになりました。

普段、どんなふうにスマートフォンをお使いですか?

「まずスケジュール帳や時計として使っていますね。僕は昔から腕時計をするのが苦手なので、すぐに『今何時?』って人に聞いていたんですが、それがスマホのおかげでなくなりました。僕のような人間にはそれが一番大きいかもしれませんよ(笑)。それからニュースも読みますし、LINEも使いますし、文章を作るのも最近はタブレットを使っています」

かなり親しんでらっしゃいますね。

「といっても、最初はどう使うのか分からなくて、文章をメール画面に打ち込んでいたんですよ。何か思いつくたびに書き込んでいたら、どんどん改行がおかしくなってしまって(笑)。マネジャーがそれを見かねて教えてくれて、今はドキュメントアプリを使っています」

スマホの機能を映画の製作に使うこともありましたか?

「撮影場所を決める打ち合わせ用に写真を撮ったり、それを送り合ってイメージを相談したり、出来上がった映像を確認したり。今は写真がとてもきれいでしょう? だからメモがいっぱい貼られたボードなんかはそれを撮影して、あとで手元で拡大して読むようなこともしていましたよ」

監督業を経てさらにスマホに親しまれた感じですね。

「言われてみればそうですねぇ(笑)。俳優のときよりも多くの情報を確認しないといけませんから、タブレットを含めて、スマホは助かりますね」

スマホケースにこだわりはありますか?

「僕、実はスマホを何度も落としているうちにヒビが入って、2回くらい壊しているんです。それでマネジャーが絶対に壊れないというカバーを買ってくれました。『壊れないからといって、わざと落として試さないでくださいね』って言われながら(笑)」

スマホが壊れたら日常にも映画製作にも支障がでますもんね。

「いやいや、ほんとにそうですよ。昔はなくても生活できていたのに、今はもう、ないと『アレ、どうしよう?』って思う、そういう存在になっているでしょう。あらためて考えてみると、監督になってから特にそう感じているかもしれません。今もこれからも、僕の夢を実現する助けになってくれていますね」

Profile

みずたに・ゆたか/1952年7月14日生まれ、北海道出身。「傷だらけの天使」「熱中時代」「刑事貴族」「探偵 左文字進」「相棒」など多くの人気シリーズを担い、それぞれ全く違う表情を見せてきた名優。今作で監督デビュー。

Information

映画「TAP -THE LAST SHOW-」
2017年6月17日公開
©2017 TAP Film Partners

あらすじ

ある事故をきっかけに一線を退き、自堕落な生活を送る元・天才タップダンサー・渡の元に、旧知の劇場オーナー・毛利から劇場の“ラストショウ”を演出してほしいとの依頼が。しぶしぶ参加したオーディションで、輝く原石に出会った渡の、止まっていた時間が静かに動き出す

監督:水谷 豊 撮影監督:会田正裕 脚本:両沢和幸 音楽:佐藤 準

タップダンス監修振付:HIDEBOH

出演:水谷 豊、岸部一徳、北乃きい、前田美波里、六平直政、清水夏生/他

配給:東映

撮影:松井伴実 スタイリング:高橋正史(OTL) ヘアメイク:山北真佐美(WEST FURIE) 取材・文:門脇弥沙

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